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オランダ移住を決める前に知っておくべき10のこと [後編]

前回の記事オランダ移住を決める前に知っておくべき10のこと [前編]では、オランダに住み始める前にぜひ知ってほしい “オランダのマイナス面” 5項目をお伝えしました。

1、先生不足と教育の質の低下
2、住宅不足
3、インフレーション
4、治安の悪化
5、モラルの低下

 

今回の記事では、下記の5項目についてわたしの実体験も交えて解説します。

6、高い所得税
7、個人主義
8、気候
9、公共交通機関・サービス
10、食事

 

6、高い所得税

早速ですが下記の表をご覧ください。

年収(税引き前) 所得税率
0 – 35,130 ユーロ(0 – 457万円) 19.20%
35,130 – 68,508 ユーロ(457 – 890万円) 40.85%
68,508 ユーロ以上(890万円以上) 49.50%

上記はオランダの所得税率です。因みに、ボーナスには特別収入としてまた別の税率が適用になります。その結果今年(2021年)の夫のボーナスには56%の税金が課せられました(汗)。

日本と比べるとどうでしょうか。

年収(税引き前) 所得税率
330 – 694.9万円 20%
695 – 899万円 23%
900 – 1799.9万円 33%
1800 – 3999.9万円 40%
4000万円以上 45%

比べてみれば一目瞭然、オランダと日本で税引き前の年収が同じだった場合、これだけの所得税の差があります。

35,130 – 68,508 ユーロ(457 – 890万円) 40.85%
695 – 899万円 23%

 

またオランダのVAT(消費税)ですが、生活必需品以外は21%となっています。

 

7、個人主義

多くのオランダ人は個人主義者です。

わたしの現在の職場では、自分の仕事が終われば帰宅するのは一般的で、チーム内の誰かの仕事が終わっていない時に、さっさと帰ってしまっても文句は言われません。

また地域住人とのつながりも薄く、ゴミゼロ活動のような地域主催の清掃活動などは無く、道路や公共の場は市が定期的に清掃しています。(ボランティアでゴミ拾いをしている人たちを見かけることはあります。)

加えて、何か問題があった場合、自分から言わないと周りの人は気づいてくれません。

これは会社、お店や、さらには夫婦間にも当てはまります。

幸い筆者のオランダ人夫は日本人的なコミュニケーションも理解しているので空気を読んでくれますが、とても稀なケースだと思います。

 

8、気候

オランダの夏は日が長く、夜は11時ころまで明るい日もある反面、12月の日の出は朝8時半、日の入りは4時半頃と、同時期の日本よりも昼間の時間が2時間半以上短いです。

また冬は11月から4月までと長く、どんよりした気候の日が続きます。過去に1か月太陽が出ないということもありました。

オランダでは他のヨーロッパ諸国同様、サマータイム制度により春と秋に各一日、一時間ずつ時計を早める・遅める日があります。

たった一時間の調整なのですが、この一時間が睡眠に及ぼす影響は大きく、時差ボケのような感覚が一週間ほど続きます。

睡眠不足により、毎年時間が切り替わった後の数日間は交通事故数が多くなっています。

(アメリカではサマータイム時間の切り替え後の1週間は、他の週に比べて死亡事故が6%多いという統計もあります)

 

9、公共交通機関・サービス

日本が世界に誇る充実した公共交通機関と、お店やレストランなどのサービスを、オランダで期待してはいけません。

電車やバスの遅延は日常茶飯事。

レストランのサービスはフレンドリーですが、日本のサービスに慣れていると物足りない感じがします。

特にスタッフとお客さんは同格という意識が強いなと感じることがよくあります。

例えばわたしたち客が食事を楽しんで、スタッフに対して料理を褒めたりジョークを言ったり、楽しい雰囲気を醸し出していれば、自然と心地の良いサービスを受けられます。

またホテルに泊まる際は必要最低限のアメニティー(シャンプー、ボディーローション)しか用意されていないことが多いですが、それが普通です。歯ブラシやヘアトリートメントなどは持参しましょう。

 

10、食事

正直、食事に関しては日本に勝る国は無いと思います。

レストランのバラエティーの多さ、そしてどのレストランも美味しいのが本当にうらやましい。

オランダでの外食は日本より高いので、コロナ禍以前でも月に1回程の頻度で外食していました。

 

また日本のスーパーで買えるような充実した新鮮な食材(特に魚)は、オランダのスーパーではあまり見かけません。

街によっては曜日限定でマーケットが立つことがあり、スーパーよりも新鮮な野菜や果物を手に入れることができます。

因みにオランダの一般的な家庭の夕飯はとてもシンプル。スープとパンの日や、お肉と野菜の付け合わせのみ、なんていう夕飯もよくあります。

日本の家庭料理のような夕飯を作るとおかずの種類の多さにとてもびっくりされます。

アジア食材は比較的手に入りやすいですが、値段はそこそこするので、和食は週に1、2回程度作っています。

 

オランダ移住を決める前に知っておくべき10のこと、いかがでしたでしょうか。

少しでも移住後の「こんなはずじゃなかった」というショックを軽減できたらいいなとの思いを込めてこの記事を書きました。

実際に3年半オランダに住んでみて、日本は本当に素晴らしい国だと実感しています。

24時間開いているコンビニがあちこちにあり、急に必要なものがあっても大体の物が手に入ります。

上記の通り素晴らしいサービスを受けることができ、公共交通機関が整っていて、たいていの場所へは電車やバスで行くことができる。

こういった便利さはオランダで生活していてとてもうらやましく感じます。

もしも本当にオランダへ移住することを迷っていたら、オランダに2、3か月(できれば夏と秋など、2シーズン)実際に住んでみて、生活が合うかどうか試してほしいなと思います。