パートナーとオランダでの生活を始めて3年半が経ちました。
オランダの生活は日本とはもちろん、これまで生活してきたどの国とも違いがあります。
便利なこと、良いなと思うところはたくさんありますが、オランダにもマイナスの側面はあります。
オランダへの移住を考えている方々が後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、この記事を書こうと思います。
今回は前半、5つのヒントを書きます。
1、先生不足と教育の質の低下
近年深刻な問題になっているのが学校の先生不足です。
2019年時点で義務教育課程で3500人の先生が不足しており、2027年までに10万人不足すると予想している専門家もいます。
欧州外からの移民の子どもたちが多い学校で特に先生の不足数が多くなっており、その理由は、移民の子どもたちを教えるためには特別なスキルが必要な反面、給料は低いから。
また後に挙げる都市部での住宅不足・賃料の値上がりに伴い、都市部での生活を諦めざるをえない先生も多いとか。
先生不足により、子どもたちはより多くの生徒と同じクラスで勉強することになったり、学校がやむを得ずクラスを閉鎖しなければならない日が出てくるなど、子どもたちの学力の低下が懸念されています。
因みに義務教育課程の一般の先生の平均給料は月3,740ユーロ(48万6200円)、所得税を引いた手取りは約2,212ユーロ(28万7560円)で、そこから賃料や医療保険費を支払ったら残るのはほんのわずかです。
また近年の平等社会推進の動きから、先生になるための基準を満たしていなくても、人種によっては先生になれるようにする議題も挙がっています。
教育の質の高さで有名なオランダも、政府が今後どれだけ予算を割いて教育危機を脱するか、今が転機だと思います。
2、住宅不足
現在オランダには毎週700~1200人の外国人が移民として入国してきています。
この移民の波により住宅不足が深刻になっており、住宅価格や賃料は急速に上がっています。
2021年第2四半期では前年の同期間に比べて約20パーセントも住宅価格が上昇し、この動きは2022年も続く見通しです。
家を買う場合、アムステルダムなどの都市部では、販売提示額に15パーセントほど上乗せしてやっと買えるほどだとか…。
例えば販売提示額が400,000ユーロ(5千200万円)の場合、この家を落札するためには60,000ユーロ(780万円)上乗せしなければ買えないということです。
賃貸に関してはオランダで最大の住宅検索サイトFundaで検索すると、アムステルダムでは30㎡ほどのワンルームアパートの賃料が1000ユーロ(13万円)以上ということもよくあります。
オランダでは教育課程を終えて新しく働き始めた人や、給料が低く家を借りることが難しい人たちをサポートするために、わずかな賃料で家を借りられる”Social Rent”というシステムがありますが、これらの物件も移民への賃貸が優先され、現在のところ9年待ちになっています。
現在20代の若者が家を借りられない・買えない状況で、親元から仕事に通っている人も少なくありません。
3、インフレーション
下記リンクの前回の記事にもある通り、2021年9月頃から天然ガス不足により電気代が大幅に上昇しています。
また住宅価格の急激な上昇もインフレ率を押し上げ、2021年のインフレ率は3,4パーセントとなっています。
単純に計算して、去年1000ユーロだったものが今年は1034ユーロになっているということです。
Covid19の影響により世界的な物流危機も起こっており、輸送コストが商品に上乗せされています。(日本食材店に行くと、あらゆる食材が値上がりしていることが見て取れます)
こんなに価格が上がっているのに、給料は全く変わらない(少なくともわたしの給料は変わっていません…)ので、生活費は上がるばかりです。
4、治安の悪化
去年からニュースで、10代の少年たちが刃渡り30~40cmにもなるマシェットナイフを持ち歩いていたのを警察が発見、武器を押収したというような報道を耳にするようになりました。
数日前には都市部で暴動が起こるなど、オランダの治安は主要都市を中心にどんどん悪くなっている印象です。
わたしが住んでいるアムステルダムの近郊の村でも、バスステーションのガラスが全て割られるなど、公共施設の破壊行為も至る所で起こっています。
オランダではマリファナの使用が法的に認められてはいますが、コカインなどの麻薬は売買・使用とも禁止されています。
これらの麻薬売買をビジネスにしているマフィア集団も大きくなっており、今年の6月には古い農家の建物から3000kgのコカインと1,100万ユーロ(14億円)分の現金が発見されました。
このコカインは南アメリカ(国名は公表されていない)の犯罪組織が保管していたものだと報道されています。
こういった犯罪が増えているオランダで、この先安全に暮らしていけるのか不安になります。
5、モラルの低下
Covid19により、オランダ国民のモラルの低下が色々な側面で明らかになりました。
まずはマスクを着用することに対する反発。
そしてつい数日前(2021年11月)には、政府が導入を検討している2Gルール(レストランや職場で、ワクチンを打っているかもしくはコロナからの回復を証明することを市民に求める)案に反発した大規模な暴動がロッテルダムで起こりました。
暴動を起こした人たちは、ワクチンを打たないことを選ぶ自由を奪うものだと主張していますが、警察の車を燃やしたり、公共施設に火を付けたり、度が過ぎると感じます。
ルールを守らいことが自由なのでしょうか?ルールを守ってこそ手に入れられるものが自由なんではないでしょうか?
他人に迷惑をかけないと教え込まれてきた日本人のわたしにとっては、オランダ人の度が過ぎた行動が理解できないことが度々あります。
「オランダ移住を決める前に知っておくべき10のこと」、今回は前半ということで5つの社会問題にについて書きました。
海外への移住は人生でもとても大きな決断になるので、オランダ生活のマイナス面も知ってほしいと思い紹介しました。
ぜひ参考にしてみてください。(後半もお楽しみに)